新潟県糸魚川市で大規模火災

 2016年(平成28年)12月22日10時30分頃、JR糸魚川駅近くの飲食店から出火、強い南風にあおられて市街地の複数の住宅に飛び火して市街地の広範囲が焼失した。消火活動中の消防隊員など約10人が負傷、焼失家屋は約150軒にのぼり、平成に入ってからは最悪の火災被害となった。

専門家からのアドバイス

この災害で学ぶべき教訓は何か、専門家が解説します。

改めて顕在化した現代市街地の延焼火災リスク

 糸魚川市大規模火災は、2016年12月22日に強風下の新潟県糸魚川市内で出火したものです。迅速な避難勧告と地域ぐるみの避難誘導によって、幸いにも死者は発生しませんでしたが、結果として焼損棟数147棟、焼損床面積約30,213平方メートルという大きな被害となってしまいました。震災時以外にこれほどの市街地火災が発生したのは、1976年の酒田大火以来ということで、マスメディアなどで「40年ぶりの都市大火」と紹介されることもあります。

 「大火」は33,000平方メートル以上が燃えた火災と定義されることが多く、この火災は厳密には大火ではなく「大規模火災」となりますが、大きな被害となった原因として「飛び火」という現象や「木造住宅の密集」という地域特性などが挙げられます。前者については、1923年の関東大震災や静岡大火、鳥取大火、能代大火など過去の市街地火災で、火の粉あるいは燃えた木材の塊などが、道路や市街地あるいは河川をまたいで何百メートルも先に延焼する事例が頻繁にみられています。現代市街地はこのような時期と比べて、耐火性の高い建築物(特に屋根)が立ち並んでいますが、糸魚川市大規模火災で10件以上の飛び火が確認されたことや、地震時には建築物の開口部などが損傷することなども踏まえると、我々はいまだ強風下の飛び火による影響を克服していないと考えるのが自然でしょう。後者については、東京や大阪をはじめとして、わが国には糸魚川市大規模火災の被災エリアより、はるかに密度の高い木造密集市街地がいまだ数多く残されているという事実がとりわけ重要です。

 このように糸魚川市大規模火災は、強風下の平常時大火のみならず、地震火災も含めたわが国の深刻な市街地火災リスクを改めて示唆する災害であったともいえます。万一に備えて、市街地火災が発生したときに避難する場所を確認しておきましょう。

廣井 悠(東京大学大学院工学研究科 准教授・都市工学者)
廣井 悠
東京大学大学院工学研究科 准教授・都市工学者
専門は都市防災、都市計画、防災学。東京都「今後の帰宅困難者対策に関する検討会議」座長など、都市防災の理論・実線共に積極的に関わる。主な受賞に、平成24年度文部科学大臣表彰若手科学者賞など。平成28年度東京大学卓越研究員、JSTさきがけ研究員も兼任。

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