フィリピン・ピナトゥボ火山大噴火(1991年)
1991年6月7日、フィリピン・ルソン島にあるピナトゥボ火山で大噴火が発生した。これに先立ち、ピナトゥボ火山周辺では4月頃から小規模な水蒸気噴火が繰り返し発生しており、政府は大規模な噴火に備えて山麓の住民を避難させていた。
この6月7日の噴火以降、ピナトゥボ火山では大噴火が相次ぎ、12日の噴火では噴煙柱が高度25,000mまで上昇した。15日13時42分頃からは最大規模の破局的な噴火が発生し、台風5号の接近と重なり噴火による軽石や火山灰が雨に混じってルソン島に降り注いだ。水を含んで重くなった軽石や火山灰が家屋の屋根に堆積して多数の家屋が倒壊するなどして500人以上が死亡した。
一連の噴火活動で噴煙が成層圏に達し、数年にわたって上空に滞留し日射量が減少、世界各地で異常気象が発生した。1993年(平成5年)に発生した日本の記録的な冷夏はこの噴火が一因とされている。