北海道南西沖地震

北海道南西沖地震:(1993年7月) 提供:Fujifotos/アフロ

 1993年(平成5年)7月12日22時17分頃、北海道南西沖を震源とするマグニチュード7.8の北海道南西沖地震が発生し、北海道江差町や青森県深浦町で震度5を観測した。

 震源に近い奥尻島では、地震直後に高さ約20mの大津波に襲われ、島の南部に位置する青苗地区では津波とその後発生した大火で壊滅状態になったほか、奥尻地区では土砂崩れによるホテル倒壊が発生した。北海道を中心に死者・行方不明者230人、負傷者323人という大きな被害となった。

 大津波警報は地震発生後5分で発表されたが、奥尻島ではそれよりも早く津波が到達したことから、気象庁では翌1994年(平成6年)に「津波地震早期検知網」を整備、以降も津波情報発表までの時間短縮に努め、現在では地震発生後約3分で津波情報が発表されるようになっている。

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専門家からのアドバイス

この災害で学ぶべき教訓は何か、専門家が解説します。

「揺れ」は、避難のスイッチ

 北海道南西沖地震は、日本海中部地震などと同様の日本海東縁部におけるプレート境界での地震です。日本海側で発生した地震としては近代以降最大規模で、北海道の桧山・渡島地域を中心に死者・行方不明者230名の犠牲がありました。その大半は津波によるものでした。

 奥尻島は震源に近く、地震発生後3〜5分で津波第一波が襲来したと考えられています。私は、最も被害の大きかった奥尻島でこの地震を経験しました。体験したことのない大きな揺れに茫然自失としていた時、日本海中部地震を経験していた近所の方が声をかけてくれ、高台に避難しました。

 気象庁は当時の最短、地震発生後5分で津波警報を出し、奥尻町役場はそれより早くに防災行政無線で避難を呼びかけました。しかし、結果的に、住民の経験や知識に基づく行動・呼びかけの方が功を奏しました。

 津波避難という観点では、津波情報を入手して始めて避難を考えるのではなく、ひとりひとりが「大きな揺れ」の時点で「津波」を連想できれば、すばやい避難行動を起こすことができます。そして、平時から建物内の安全性を高め、避難経路や避難場所、避難の手段を整えておくことで、津波から助かる命を増やすことができると思います。

定池 祐季(東北大学災害科学国際研究所 災害復興実践学分野 助教 博士(文学))
定池 祐季
東北大学災害科学国際研究所 災害復興実践学分野 助教 博士(文学)
北海道南西沖地震(1993年)を奥尻島で経験し、災害研究の道へ。災害社会学、地域社会学、防災教育を専門に、災害文化・防災教育に関する研究と実践に取り組んでいる。

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