ペルー・アンカシュ地震(1970年)
1970年5月31日15時23分頃(現地時間)、ペルー沖の太平洋を震源とするマグニチュード7.7のアンカシュ地震が発生した。
震源から約130km離れたペルー最高峰のワスカラン山(6768m)周辺の集落でも地震の揺れによって家屋の全壊率が80%に達する大きな被害となったが、被害を大きくさせたのが地震の揺れに伴うワスカラン山の崩壊で、山頂付近が高さ1,000mにわたり大規模に崩壊し、氷雪を巻き込み時速300kmの岩屑なだれとなって山麓の複数の集落を埋没させ、死者66,000人以上という甚大な被害が生じた。岩屑なだれが高速かつ大量に山麓に流れ下ったため、数トンもある巨岩が1.5kmほど投げ飛ばされたり、標高200m以上ある丘を崩壊した土砂が乗り越えるなどの現象がみられた。
参考資料
- 大八木規夫「自然災害とその研究史」(地学雑誌(1991年))
- 防災科学技術研究所「高い尾根を乗り越えたり大津波を起こしたりする巨大崩壊による岩屑なだれ-1970年ペルー地震によるワスカラン岩屑なだれ,1984年長野県西部地震による御岳崩れなど」