草津白根山(本白根山)噴火

 2018年(平成30年)1月23日10時2分頃、群馬県の草津白根山の本白根山で噴火が発生した。草津白根山は複数の火山から構成されており、これまで湯釜やその周辺での噴火が知られていたが、本白根山では火口の地形は残るものの、記録に残る明確な噴火の記録はなかった。

 本白根山では山頂近くにも草津国際スキー場や白根火山ロープウェイなどの観光施設があり、この噴火に伴って、山頂近くに新たに開いた火口列から1kmを超えて大きな噴石が飛散し、スキー客やロープウェイの乗客などを直撃した。この噴火で、ゲレンデで訓練中の自衛隊員1人が死亡、観光客など11人が負傷したほか、数十人がロープウェイの駅で長時間にわたり足止め状態となった。

 今回の噴火は、草津白根山の中でもこれまで観測や防災対応の対象となっていなかった本白根山からの噴火となったこと、また今回と同様に多くの登山者が噴石に巻き込まれ死傷した、2014年(平成26年)9月の御嶽山噴火災害を契機に情報発表が始まった「噴火速報」が、この噴火では発表されなかったことなど多くの課題が浮き彫りとなった。今回の噴火を受けて、草津白根山ではこれまでの湯釜周辺に加えて、3月16日から新たに本白根山に対しても噴火警戒レベルの運用を開始した。

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予期せぬ噴火。活火山では常に備えと避難の覚悟が必要

 2018年1月23日10時02分頃に草津白根山、本白根山火口列北端の三日月火口で水蒸気噴火が起こり、3万トンの火山灰などを噴出した。そして火山礫あるいは火山岩塊の直撃により1名の犠牲者が出た。

 草津白根火山では、1万数千年前から最新期の火山活動が始まった。その中で最大規模の3,000~5,000年前の活動は、今回の噴火と同様本白根山付近で起きたものだ。複数の火口からマグマを噴き上げて火砕丘と呼ばれる小火山体を形成したほか、その裾からは3枚の溶岩を東と南に流した。これらの総噴出量は約5億トンに及ぶ。

 その後火山活動は「湯釜」周辺に移動し、1882年以降だけでも19回の水蒸気噴火を繰り返している。このため、火山活動の監視も湯釜周辺に重点が置かれていた。2014年以降火山活動が活発な状態となったため、レベル2(火口周辺規制)に警戒レベルが引き上げられていたが、2017年に入って活動が低下傾向に転じたため、レベル1(活火山であることに留意)に引き下げられていた。

 活火山では、その山体のあらゆる場所で、いつ噴火してもおかしくない。入山の際には必ずヘルメットを携帯し、警報発令や噴火開始の場合は一目散に下山する覚悟が必要だ。

巽 好幸(神戸大学海洋底探査センター 教授/センター長)
巽 好幸
神戸大学海洋底探査センター 教授/センター長
水惑星地球の進化や超巨大噴火のメカニズムを「マグマ学」の視点で考えている。日本地質学会賞、日本火山学会賞などを受賞。主な著書に『地球の中心で何が起きているのか』『富士山大噴火と阿蘇山大爆発』などがある。

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