九州南部大雨

九州自動車道(姶良市)の斜面崩壊発生状況(2019年7月4日撮影) 提供:アジア航測(株)・朝日航洋(株)

 2019年(令和元年)6月28日から7月4日にかけて、九州付近に停滞する梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、九州南部を中心に降り始めからの総雨量が1,000mmを超える記録的な大雨が降った。この大雨で、鹿児島県南さつま市の大王川で堤防が決壊したほか、河川の氾濫により広範囲で浸水被害が発生した。また、土砂災害は212か所で発生し、このうち鹿児島県では150か所にのぼり、2人が死亡、5人が負傷した。

 大雨の要因としては、梅雨前線が九州付近に停滞し、なおかつ南西から暖かく湿った空気が流れ込み続けたため、前線が活発化したことが挙げられる。また、線状降水帯が複数形成されたとみられ、多くの地点で長期間にわたり集中して激しい雨が降り続いた。大雨特別警報こそ発表されなかったものの、鹿児島地方気象台は奄美地方を除く鹿児島県内の広い範囲で土砂災害の危険度が高まっているとして、「命に危険を及ぼす土砂災害が発生してもおかしくない極めて危険な状態」という表現を用いた気象情報を発表して警戒を呼びかけた。

 九州が7月初旬に大雨に見舞われるのは、2017年(平成29年)の九州北部豪雨、2018年(平成30年)の西日本豪雨に続き3年連続である。いずれも梅雨前線に湿った南西風が吹き込みやすい条件が重なった梅雨末期の気象状況の中で発生していた。

 この大雨の際に鹿児島市は同市全域の約59万人に避難指示(緊急)を発令している。同市としては、市民全員に対してではなく、危険な場所に居住する人に対し情報を伝えたかったが、実際に情報を見た市民としては、市民全員が避難所に向かうような情報と認識してしまい、混乱が発生するなど適切な情報提供の面で課題があった。

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