平成25年台風26号・伊豆大島土砂災害(2013年)
この災害の記録写真
専門家からのアドバイス
この災害で学ぶべき教訓は何か、専門家が解説します。
住んでいる場所の地形や土壌の確認を
土砂災害には深さ数十mの土砂が崩れる深層崩壊と、地表数mの深さの土砂が崩れる表層崩壊があります。伊豆大島のように細かい火山灰で構成されている土壌では表層崩壊が多く、この災害も表層崩壊によるものです。火山灰の土壌は普通の土と比べて水はけもよく、崩壊は起こりにくいのですが、今回のように時間雨量100mmを超える雨が2〜3時間降り続くと、さすがに持ちこたえることは難しかったようです。
深層崩壊は崩壊の質量こそ大きいものの、下流へと流れず途中で止まることが多いですが、表層崩壊は流動化し、途中で木や土などを巻き込み、その質量を10倍にも20倍にも大きくしながら土石流となって下流へ流れていきます。この地区では地形などから、危険性のある街への対策として砂防ダムも設置されていましたが、予想もしない方向に土砂が流れ、被害が大きくなりました。また細かい土質だったため、一般的な土石流の速さが10m/s以下なのに対して約15m/sと、流れが速かったことも被害拡大の要因と考えられます。
災害の発生周期は非常に長く、今まで安全と思われてきた場所で災害が起こることはよくあります。ここは安全などと思わず、災害に対する危機意識を常に持ち続けるように心がけてください。時間雨量が100mmを超える雨の中での避難は実質的に困難です。警報が出たら速やかに指定された場所への避難を始めてください。もし避難が難しい場合は、家の2階へ移動してください。災害から身を守るため、非常時の行動を普段からしっかりシミュレーションしておくことをおすすめします。
- 竹林 洋史
- 京都大学 准教授 博士(工学)
- 流砂現象及び河床変動現象を解明し、流路・河床変動、土砂動態(物質動態)、動植物生息場物理環境の解析・予測技術の確立を通して、安全な生活と生態システムの保存・創生の両面で、適切な土砂環境を持つ河川流域を計画する手法を開発。
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- 京都大学防災研究所