令和元年台風19号

長野市赤沼地区(2019年10月13日撮影) 提供:アジア航測(株)・朝日航洋(株)

 2019年(令和元年)10月12日19時頃、台風19号が大型の強い勢力で伊豆半島に上陸し、翌13日にかけて関東地方と東北地方を進み三陸沖に抜けた。台風本体の雨雲や台風周辺の湿った空気の影響で、東日本と東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨や暴風をもたらした。

 降り始めの10日から台風が通過した13日までの総雨量は、神奈川県箱根町で1,000mm超を観測したほか、関東甲信地方と静岡県の17地点で500mmを超える記録的な大雨となった。この箱根町では、台風が上陸した12日の日降水量が922.5mmを観測し、全国の歴代1位の記録を更新した。この記録的な大雨に伴い、気象庁は東日本から東北地方にかけての13都県に大雨特別警報を発表し、東京都にも世田谷区や板橋区など23区の一部に運用後初となる大雨特別警報を発表した。この大雨により、東京都の多摩川や長野県の千曲川など全国74河川の約140か所で堤防が決壊したり、内水氾濫が多数発生したほか、土砂災害も962か所で発生し、これまでに85人が死亡、3人が行方不明となり、476人が負傷した。建物被害は、90,000棟を超えた。また、台風が上陸した12日は、東海道新幹線がほぼ終日運休、羽田・成田の両空港の発着便も大半が欠航するなど交通機関に大きな影響が生じた。

 台風の接近に先立ち、気象庁は臨時の会見を行い、今回の台風が1958年(昭和33年)9月の狩野川台風に匹敵するとしたうえで事前の避難を呼びかけるなどした。しかし、氾濫発生情報が発表されない河川があるなど情報提供に問題があったほか、浸水想定区域に避難所が開設されあとから移動することになったり、避難所が満員となり利用を断られた住民が他の避難所への移動を余儀なくされる事態が発生するなど自治体の避難対策の不十分さも課題となった。

参考資料

災害カレンダー

1012

明治5年12月2日(1872年12月31日)以前の災害は旧暦で記載しています。