カスリーン台風(1947年)
1947年(昭和22年)9月15日、カスリーン台風が関東地方に接近、房総半島をかすめて三陸沖に進んだ。台風に刺激されて日本付近に停滞していた前線の活動が活発となり、関東・東北地方で記録的豪雨となった。
関東地方では利根川と荒川で堤防が決壊、特に利根川では、埼玉県加須市付近での決壊による氾濫流が元の利根川の流路に沿って南下し、東京の下町低地一帯が広範囲にわたり浸水した(現在の利根川は千葉県銚子市付近から太平洋に注いでいるが、これは江戸時代に流路変更されたものである)。この台風による死者は1,077人、被災家屋は480,000棟以上にのぼる甚大な被害となった。
利根川においては、支流の堤防はこれ以降も決壊しているが、本流の堤防はカスリーン台風以降は決壊しておらず、その後の高度経済成長、東京への人口集中に伴う土地利用の激変・都市化を経て、堤防決壊時の被害拡大が懸念されている。