トンガ沖海底火山噴火

トンガで海底火山大規模噴火 提供:CIRA/NOAA/ロイター/アフロ

 2022年1月15日13時頃(日本時間、以下同様)、南太平洋トンガ諸島のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山で大規模な噴火が発生した。この噴火に伴い、日本では、津波の伝播速度から予想される到達時刻より数時間早く、潮位変化が観測された。気象庁は当初、「津波被害の心配はない」と発表したが、日本の沿岸で潮位上昇が観測されたため、一転して各地に津波警報・注意報を出した。総務省消防庁によると、避難中に転倒した2人が軽傷を負った。また、養殖いかだが損傷するなどの被害が出た。

 気象庁が設置した有識者会議は同年4月、噴火による空気の振動で生じた「気圧波」に海面が押されたことなどが発生原因だとする報告書を公表した。さらに、気象庁はこれ以降、火山噴火による気圧波に起因する潮位変化に対しては、津波として防災対応を行うこととし、津波警報・注意報の仕組みを活用して、注意警戒を呼びかけることを決めた。

 噴火発生後、遠く離れた日本においても、地震などの揺れを伴わない海面変動が生じたことで、メカニズムが不明な状況の中で起こる現象に対し、国や自治体が警戒や避難をどう呼びかけるか、あらゆる課題が浮き彫りになった。

 総務省消防庁によると、青森、岩手、宮城、千葉、徳島、高知、宮崎、鹿児島の8県で一時、約229,000人が避難指示の対象になった。住民の避難を巡っては、岩手県内で沿岸の47,306人に避難指示が発令されたが、実際に避難したのは最大で1,984人と対象の約4%にとどまったことが県のまとめで判明した。

 本現象は、地震によらない海面変動が生じたということも特徴であるが、冬季かつ夜間に警報や避難情報が出たということも特筆すべき特徴である。稀有な現象を受けて、避難判断が難しかったり、避難をためらったりするような状況で、国や自治体がどのように避難を促すか、メディアがどう情報を伝えるか、受け取った側はどう行動するべきか、検討するべき課題が多く残されている。(Yahoo!天気・災害)

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参考資料

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明治5年12月2日(1872年12月31日)以前の災害は旧暦で記載しています。

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