平成27年関東・東北豪雨、鬼怒川決壊

河北新報 2015年(平成27年)9月11日(金曜日)朝刊 提供:河北新報社

 2015年(平成27年)9月7日から11日にかけて、台風18号から変わった低気圧の影響で関東・東北地方で、所によって5日間の総雨量が600mmを超える記録的大雨となり大きな被害が発生、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名された。

 このうち、10日は朝までに栃木県と茨城県に大雨特別警報が発表され、利根川の支流の鬼怒川では、朝から中流域の茨城県内で越水等が発生し、昼過ぎには常総市内で堤防が決壊し広い範囲が浸水した。避難情報の発表タイミングや避難経路などの的確な避難情報の提供といった課題も浮き彫りになった。

 翌11日には宮城県にも大雨特別警報が発表された。この大雨で、14人が死亡し、損壊・浸水家屋は20,000棟以上にのぼった。

専門家からのアドバイス

この災害で学ぶべき教訓は何か、専門家が解説します。

自宅周辺の雨量が少なくても、大水害の可能性はあり

 この災害の大きな特徴としては、南北に流れる鬼怒川を覆うようなかたちで、雨が集中したことが挙げられます。最近多く見られる「線状降水帯」と呼ばれる降り方で、それが偶然にも川に重なったのです。

 また、堤防が決壊した場所は、雨が多く降ったエリアから離れていたことも特徴です。堤防が決壊したのは茨城県常総市ですが、その一帯の雨量は、比較的多かったわけではありません。猛烈に多かったのは、その上流にある栃木県の鬼怒川温泉あたりなのです。ちなみに、溢水や漏水は各所であったものの、堤防が決壊したのは1カ所。大きく分けて3種類ある決壊のメカニズムのうち、河川水の水位が堤防を越える「越水」と、水圧の増加によって(土である)堤防の中を水が流れた末に破壊する「浸透」の複合が、決壊の要因と考えられています。

 復旧にあたっては、堤防をそれまで以上に高く設定。そして、浸透の対策としてゴムシートやコンクリートで斜面を覆う工事がなされました。

 件の災害から学ぶべきは、住んでいる場所や自分がいる場所の雨量が大したことがなくても油断せず、状況をしっかり把握するのが大切だということです。そのために活用したいのが、堤防が決壊した場合に被害がどう拡大するかを想定した浸水想定MAP(ハザードMAP)。国土交通省や自治体のホームページで公開されていたり、配布されたりします。浸水想定MAPは、日頃から確認しておくのをおすすめします。また、災害時のサイレンやアナウンスを聞き逃さないことも重要です。

安田 進(東京電機大学 プロジェクト研究教授/土木学会フェロー特別上級技術者(地盤・基礎))
安田 進
東京電機大学 プロジェクト研究教授/土木学会フェロー特別上級技術者(地盤・基礎)
地震をはじめとする地盤災害や、新たな地盤改良工法を日夜研究。「平成27年関東・東北豪雨、鬼怒川決壊」の際は、国土交通省によって組織された鬼怒川堤防調査委員会の委員長を務め、堤防決壊の原因究明に尽力した。

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