昭和61年台風10号(1986年)
広瀬川合流点付近の氾濫と浸水状況:台風10号から変った温帯低気圧の北上に伴い、名取川流域も4日から5日にかけ記録的な大雨となり、仙台では総雨量402ミリを記録した。この豪雨をもたらした温帯低気圧はほぼ東北地方の海岸線に伴う形で北上したため、奥羽山系を境として平野部の低い地域に行くに従って多量の降雨となる里雨型であった。このため水位は4日18時頃から上昇し始め、5日1時には名取橋(本川)、2時には広瀬橋(支川広瀬川)で指定水位を超え、3時間後には各々警戒水位を越え上昇し続け、11時には名取橋で7.65m、広瀬橋では12時に1.80mの最高水位となった。 提供:国土交通省 仙台河川国道事務所
1986年(昭和61年)8月5日から6日にかけて、台風10号から変わった温帯低気圧が房総半島を通過した。低気圧の動きがゆっくりだったことから、湿った空気が長時間にわたって流れ込み続け、茨城県、栃木県、福島県、宮城県を中心に2日間の降水量が所によって400mmを超える記録的な大雨となり、各地で河川の氾濫が相次いだ。
このうち、茨城県では、小貝川が明野町(現在の筑西市)と石下町(現在の常総市)で決壊、栃木県では、逆川が茂木町で氾濫し町の中心部が広範囲で浸水した。また、宮城県では、吉田川と鶴田川が鹿島台町(現在の大崎市)の複数箇所で決壊した。
このように、この大雨では関東・東北地方の広範囲で被害が発生し、死者・行方不明者20人、浸水・損壊家屋は100,000棟を超える大きな被害となった。
参考資料
- 国立防災科学技術センター「1986年8月5日台風10号の豪雨による関東・東北地方の水害調査報告」